神様に会いにいく

【連載エッセイ】 Vol.2 スサノオノミコト (岡崎神社)


数ある京都の神社の中で、友達に薦めてよかった神社ナンバー1は、岡崎神社だ。狛犬ならぬ狛ウサギがいるこの神社は、子授け・縁結びのご利益で有名で、子授け祈願をした友達が見事に子を授かり、別の友達は恋人ができ、また、うさぎ好きだからという理由だけで連れていった別の友達も結婚して子が生まれ幸せな日々を送っている。すごい。

ちなみにわたしは、うさぎの絵が可愛い「飛躍守(ぴょんもり)」を授かった。鯉が龍になって天へ上るような大出世はしていないけれど、ぴょんっ、ぴょんっと少しずつ次のステップへ飛躍しているような気はする。ぼちぼちだけど仕事の幅も広がってきた。応援してくれる人も増えてきた。

さて、岡崎神社に祀られている神様はヤマタノオロチ伝説のヒーローとヒロイン、スサノオノミコトとクシナダヒメだ。

ヤマタノオロチの生贄に娘を差し出さねばならぬと泣いている男のところにスサノオが通りかかって、ヤマタノオロチをやっつけるから倒したら娘を嫁にくれと約束する。そして、見事に打ち取って、ふたりは結婚。それがスサノオミコトとクシナダヒメ。

そんな有名な神様がいらっしゃったなんて、今まで何度もお参りしていたのに知らなかったよ。しかも、スサノオの伝説はそれだけではない。神話を読んでいくと続々と面白いエピソードが出てくる。

たとえば、スサノオのお姉さんは太陽の女神アマテラスで、アマテラスが岩戸に隠れて世界が闇に閉ざされ大騒ぎになったのは、実は彼の悪行が原因……などなど、いろいろなエピソードはおいおい紹介していくとして、神話の中でもっとも個性が強くてユニークな神様がスサノオノミコトなのです。

連載2回目にして大スター登場!
ああ、早くスサノオ様に会いたい!
と、わたしはいつもとは違う気持ちで岡崎神社に到着しました。

お参りして、狛ウサギをなでなでして(縁結び・夫婦円満)、ぐるりと境内をめぐる。
子授かり祈願は、このウサギさん。水をかけてお腹をなでて願う。

可愛いウサギのおみくじを授かって、

おしりの穴からおみくじを取りだす。

おみくじは小吉。奢らず調子に乗らず、謙虚にがんばります。ウサギさんはお守りとして持って帰ります。

一緒に記念撮影。

岡崎神社は堪能したけれども、でも、スサノオ様に会えた気がしない。どうしたら会えるのだろう。
もう一周回ってみる。

木々のざわめきに耳をすませる。
じっと拝殿を見つめてみる。
心を静かに落ち着かせてみる。

……会えない。
仏像や絵があるわけでもなく、神が乗り移るとされるご神体も扉の向こうにあって見ることはできないせいだろうか。

平安時代、貴族は御簾の向こうにいて、身分が高い人を直接見ることはできなかった。だから、神様の姿を直接見ることができないというのは、敬う意味でとても自然なことのはずだ。
でも、現代は、何でも目で見ることができる。どんなに偉い人だって、どんなに貴重なものだって、テレビで見ることができる。だから、見えないものを信じにくくなっている。

わたしはずっと、神様の存在を信じているつもりになっていたけれど、それはふわっとしたエネルギーのようなあいまいな存在としてとらえていただけで、スサノオノミコトという名前や個性のある神様が扉の向こうにいると信じることがどうしてもできない。

どうしても想像できないものは、身近なものに置き換えて考えてみるしかない。神々の存在は小説の登場人物に近いだろうか。わたしは小説を書きながら彼らが実在しないことを知っている。でも、それなのに精魂こめて書くことができるのは、彼らの感情は、読む人の心の中に実在すると信じているからだ。

ということは、神様の実在を信じられなくても、神様の織りなす物語がこの世界に実在すると信じられれば神様に会うことができるだろうか。
この連載を続けていくうちに、わたしは見えないものを信じられるようになっていくだろうか。

焦らずいこう。
また来ますと挨拶をして、森に囲まれた神社を出た。
次はスサノオノミコトのお姉さまに会いにいってきます。

施設情報

岡崎神社

神社

東天王 岡崎神社

この記事を書いた人

寒竹泉美

小説家・医学博士

寒竹泉美

岡山生まれ、広島育ち。京都に住んで15年が過ぎました。ペット可の古い貸家で白黒猫のモーちゃんと夫と、マイペースに暮らしています。

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