神様に会いにいく

【連載エッセイ】Vol.21 アメノホヒ命(天穂日命神社)


今回会いに行ったのは「アメノホヒ命」。アメノホシホミミ尊の弟神です。

アメノホシホミミ尊って誰だっけ・・・と思った人はvol.16の許波多神社の回をご覧あれ。

ざっくり説明すると、アマテラスとスサノオの対決でアマテラスには5柱の息子神が生まれましたが、長男がアメノホシホミミ。そして次男が今回会いにいくアメノホヒなのです。

神話の中には3つの国が登場する。国といっても大地に広がる領地ではなく、上中下という縦方向の国だ。アマテラスがおさめる天界「高天原」と、イザナギとイザナミが矛をかき回して作った地上「中津国」、そして死者の国でイザナミがおさめる「黄泉の国」。

高天原に住んでいるのが「天津神」。あまつかみと読みます。なべつかみみたい。中津国に住んでいるのは「国津神」。ちなみに、高天原で大暴れしたスサノオは中津国に追放されて、そこでクシナダヒメに出会いヤマタノオロチを退治し、地上で子孫を増やしていったのですが、その子孫の1柱が「大国主神」。中津国は大国主神がおさめていた(おおくにぬし神と読むけれども、出雲大社に祀られている、かの有名なダイコク様だ)。

しかし大国主はスサノオの子孫とはいえ、国津神。中津国はイザナミとイザナギが作った国なので、天津神がおさめるのがふさわしい・・・そう考えたアマテラスは、自分の長男アメノホシホミミを下界に降臨させて中津国をおさめさせようとした。

アメノホシホミミは、なんか下界物騒だし・・・と行くのを拒否し、もう一度命令がくだったときは、自分の息子ニニギに行かせて、結局ニニギが降臨した。ここまでは復習。

実は、この1回目と2回目の間に、いろいろあったのです。兄が1回目に任務を投げ出したあとに降臨をおおせつかった天津神、それがアマテラスの次男アメノホヒ。アメノホヒが中津国をおさめることに成功していればニニギの出番はなかったわけですが、アメノホヒの地上降臨は失敗してしまいました。

どういう失敗かというと、

大国主に国を譲るように説得しているうちに、大国主に心服して、そのまま3年経っても天に戻らなかったのでした。

・・・おーい。

なんだかどこかで聞いたような話だ。山幸彦と同じパターンですね。山幸彦・・・。面食いで疑り深い俺様ニニギの子にしてはおっとり天然すぎると思っていたけれど、山幸彦はこの大叔父に似たのですね。

頭を抱えるアマテラス様が目に浮かぶようです。
でもまあ、地上に降りもしなかった兄よりはいいか・・・。

というわけで、アメノホヒ命が祀られている「天穂日命神社」を目指します。天穂日命神社があるのは伏見区石田。京都駅から南東。地下鉄東西線「石田駅」降りてすぐです。

伏見区は京都・大阪・奈良の中継地で、さらに大きな川がたくさんあるため、陸路・水路ともに交通の要地だったそうです。

今は車がびゅんびゅん通っています。

この道を1本入ると、急に別世界。

天穂日命(あめのほしひみこと)神社です。

神様の名前がそのままついている。かっこいい。

鳥居の横に歌碑がある。ここは「石田の杜」といって万葉集の歌にも詠まれた場所なのだそうです。

側には立札が。

句碑拓本?
魚拓とかの句碑バージョン?

調べてみた。

拓本とは、凹凸のある石碑、器具(硯、青銅器など)に紙や絹を被せて密着させ、上からタンポに含ませた墨を打ち、凹凸を写しとること。

昔は印刷技術も写真もなかったので、拓本が書のお手本として重宝されたとか。
今も研究や句碑を味わうために句碑拓本は取られているらしい・・・が、許可なしでは禁止です。というか、ここに限らずほとんどの句碑が許可必須のようなので、やってみたいと思っても、よくよく調べてみてくださいね。

鳥居に近づく。

なんだか変わった鳥居だなと思ったら・・・

後ろから支えていた。

参道の木々。まばらだけど、いろんな種類の木があってのびのび自由な感じ。

本殿・・・と言いたいところですが、ここに見えているのは本殿を建物で覆った「覆屋」です。

この金網の奥に本殿がある。

ほとんど中は見えないけれど、本殿は江戸中期に作られたものなのだそうです。

アメノホヒ様、会いにきましたよ。

しかし、天から降りてきて地上が気に入って任務を忘れてしまうなんて、地上に住んでいる身としては親近感を抱いてしまう神様だ。

神社には人の気配がないのに、やわらかな空気がただよっていた。

施設情報

天穂日命神社

神社

天穂日命神社(あめのほひみことじんじゃ)
  • 京都市伏見区石田森西町66

この記事を書いた人

寒竹泉美

小説家・医学博士

寒竹泉美

岡山生まれ、広島育ち。京都に住んで15年が過ぎました。ペット可の古い貸家で白黒猫のモーちゃんと夫と、マイペースに暮らしています。

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