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【月刊レポート】 Vol.4 京都イチ大きな木造仏!轉法輪寺の御室大仏


御室仁和寺の東の脇道は木々に覆われ小さなお寺が立ち並ぶとても静かな通りです。石仏群が有名な蓮華寺を越え、さらに東の細い道へ入ると現れる『関通 轉法輪寺』の石柱。竜宮城のような立派な鐘楼門をくぐり本堂に入ると、そこにはお堂いっぱいに存在感を放つ約7mの阿弥陀如来坐像が!京都NO.1の大きさを誇る木造・阿弥陀如来像・通称『御室大仏』と、このたび初公開になる寺宝の涅槃図を今回はご紹介します!

轉法輪寺は江戸中期の1758年、関通上人により創建されました。当初は北野天満宮の南にありましたが今の場所へは昭和3年に移りました。

関通上人は江戸の増上寺で修行をした後の帰国の途で箱根の関所に差し掛かった時、通行手形による旅人の行き来を見て「人間の苦しみの関所も『南無阿弥陀仏』の念仏という手形があれば必ず脱出できる」と悟り、自らの名を『関通(かんつう)』と名乗るようになりました。

その関通上人の念仏道場だった轉法輪寺は『関通さん』と呼ばれ、上人を慕う人々で賑わっていたといいます。

本堂の中央には本尊・阿弥陀如来像が坐しています。螺髪(粒状の髪)は大粒、高く盛った肉髻(おだんごヘアーのような頭)、少し面長でシュッと整ったお顔、両肩に衣の袖を通す通肩スタイル、細かいドレープが刻まれた衣紋…などなど独特な姿をした阿弥陀さまで、大きさはなんと二丈四尺(7m以上)!座ってこの大きさですから、立った時はおよそ倍の14mの身長ということになります。この堂々とした姿の仏像が作られたのは関通上人の時代、今から250年前です。

木造では京都一の大きさを誇る阿弥陀さま。
なぜこのような大きな仏さまを作ったのでしょうか。

それは関通上人の人気を物語っています。上人を慕い弟子となった人はおよそ1500人、戒を授けてもらった人は3000人、日々念仏を唱えると誓った者はなんと一千万人(!)と言われています。たくさんの方が上人を慕い列をなして轉法輪寺を訪れて、阿弥陀さまの前で念仏を唱えていたのです。

となると、ごった返す人々で仏前は何重もの人の層ができ、もしご御本尊が小さいと、後ろの方からは「阿弥陀さまが見えない!」となってしまいますよね。祈りの対象である阿弥陀さまの姿がたとえ離れたところからでも見えて拝めるようにと7mという大きなサイズで造ったのだと伝えられています。

横から見ると少し前傾姿勢なのがわかりますね。
緊張感なく柔らかく座っていらっしゃるので、大きいものの威圧感はなく、包み込むような優しさを感じます。

昔はここで修行をしていた小僧さんが阿弥陀さまの腕や脚の上に寝そべってお昼寝!?なんてこともあったそうですよ。小僧さんもお母さんのような優しさを阿弥陀さまに感じていたのかもしれませんね。

今回は仏像とあわせてご紹介したいものがあります。
それがこの『轉法輪寺・涅槃図(ねはんず)』です。

お釈迦さまは旧暦2月15日に80歳で亡くなりました。
沙羅双樹の下でたくさんの菩薩や天部、比丘、比丘尼、動物たちまでもが嘆き悲しむ中、北に頭を、西に顔を向け息を引き取ります。これを『涅槃』といいます。

毎年2月15日(あるいは新暦に合わせてひと月遅れの3月15日)に涅槃会という法要を行う寺院が多くあります。その時に本尊として掲げるのがその亡くなるシーンを描いた涅槃図です。

各寺院の持つ涅槃図には多少の違いはあるものの、満月や沙羅双樹(生い茂ったものと枯れたもの)、跋提河(ばつだいが)といううねる河、宝台というベッドなど描くものは大体決まっています。

その一つひとつには意味があり、そこにお釈迦さまの教えが詰まっているので、涅槃図の前でお坊さんが説明をする『絵解き』が盛んに行われてきました。

今から250年前に描かれた轉法輪寺の涅槃図はこのたび3年にわたる修復が終わり美しく蘇りました。それを機に特別公開をすることになったそうです。

ぜひこの機会に7mの大きな阿弥陀さまと高さ5mの大きな涅槃図のコラボをお楽しみください!
期間中は毎日11時からと13時からご住職による絵解きが行われますよ。(内容は日替わりです)

転法輪寺は先代のご住職の頃(15年前まで)は檀家さん以外の拝観対応をされていませんでした。大学の教授をされていて留守にすることが多く対応できなかったそうです。
現在のご住職は「仏教をより皆さんの身近な存在に」という思いを強くお持ちで、檀家さんの法事やお寺の行事などがなければ事前連絡で拝観をさせていただけます。

喧騒を離れた静かな堂内で、大きな阿弥陀さまからパワーを頂いてくださいね!

※涅槃図特別公開期間は2017年2月1日(水)~2月26日(日) 拝観料400円
※上記の期間以外の参拝は事前予約が必要です。(拝観料は志納)

施設情報

轉法輪寺

寺院

轉法輪寺(てんぽうりんじ)

この記事を書いた人

政田マリ

仏像ナビゲーター

政田マリ

月に一度素敵な仏さまをご案内する『月イチ仏像ガイド』主催。京都の魅力、仏像の魅力を世に広めるために仏像ガイドとしての活動しています。日本仏像検定A級。年季の入った『カープ女子』です。

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