酸いも甘いも京の体験

【夏の鴨川座カモシネマ12】鴨川で、映画を観る。


四条大橋から見た夜の鴨川。

これぞ京都の夏!というようなお馴染みの光景である。

だけど、今日の目的地はここではない。

木屋町通りから四条大橋を東へ渡って、京阪電車に乗って北へと上り…

着きました、出町柳駅。

ほんとに柳が「出待ち」をしている、出町柳駅。

そして、今出川通りから続く賀茂大橋を西へ渡って河川敷に降りて、南へと歩いていくと…

お!なんだか明るい。

ここを抜ければ…

ジャーン!

夜空にかかる、突然の大スクリーン。

夏の鴨川座『カモシネマ12』にやってきました。

京都の夏といえば「祇園祭」や「五山送り火」、「御手洗祭り」に「万灯会」などなどイベントが盛りだくさん。

「カモシネマ」も、そんな夏の京都を彩るイベントの一つで、2005年の始まりからずっと、ここ鴨川で1年に一度の開催を続けてきた。

「鴨川で映画を観る」。

言ってしまえば、ただそれだけのイベント。

だけど、なかなかどうして不思議な魅力があるんです。

真っ暗な鴨川の河川敷にじっとたたずんでいると、聞こえてくるのは流れる水の音、草木の揺れる音、カエルや鈴虫の鳴く声。

いつのまにか自分も鴨川の一部になっていく。

それがとっても気持ちいい。

今年の上映作品は、漫画家くらもちふさこ原作、山下敦弘監督の『天然コケッコー』。

のどかな島根の田舎の風景の中で、中学生時代の宝物のような時間がスクリーンからゆったりと流れてくる。

ふと映画の中の世界から戻ってみても、自分は夜の鴨川にいる。

なんだかスクリーンの中と外が溶け合って、虚構と現実がひとつになるような…。

そんな不思議な感覚を味わえるのが、カモシネマの一番の魅力だとわたしは思う。

今年で12年目を迎えるというカモシネマ。

歴代上映作品を振り返ってみれば、その絶妙なラインナップに驚かされる。

※丸カッコ内は開催年

  • 『パッチギ!』(2005年)
  • 『サマータイムマシン・ブルース』(2006年)
  • 『フラガール』(2007年)
  • 『時をかける少女』(2008年)
  • 『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』(2009年)
  • 『色即ぜねれいしょん』(2010年)
  • 『ソラニン』(2011年)
  • 『ひゃくはち』(2012年)
  • 『百万円と苦虫女』(2013年)
  • 『鴨川ホルモー』(2014年)
  • 『桐島、部活やめるってよ』(2015年)

若者の青春を描いた映画が圧倒的に多いのだが、多くの大学が集まり、「学生の街」と呼ばれるこの土地にとてもしっくりくるように思える。

ところでカモシネマは、立命館大学を中心とした関西の大学生たちが主催する無料のイベントで、映画上映の前には来場者も参加が可能な清掃活動も行っているそうだ。

主催者側の紹介分にはこう書かれている。

鴨川という空間独特の美しさと大切さを映画を見ることを通じて多くの人に知ってもらいたい。
鴨川を大切にするひとを少しでも増やしたい。
そして誰かと誰か、何かと何かがつながることの素晴らしさを感じてもらいたい。
カモシネマとは、そんな思いを持った学生が集まって作る夏の夜のイベントです。

鴨川を愛し、映画を愛し、そしてカモシネマを通して生まれる、人と人とのつながりを愛する、たくさんの学生さんたちの手によって、今日まで続いてきたのだ。

その努力と熱い思いに感謝と敬意を示しつつ、これからもこのイベントが長く続いていくことを願うばかりである。

イベント情報

鴨川座『カモシネマ』

上映イベント

鴨川座『カモシネマ』
  • 京都市左京区出町柳鴨川デルタ(鴨川三角州)
  • 毎年夏開催

この記事を書いた人

はりはり

ライター

はりはり

京都在住。並みの文系です。銭湯が大好き。

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