酸いも甘いも京の体験

【百万遍さんの手づくり市】クラフトマーケットの先駆け 手づくり市に出展してみた。


チクチク…チクチクチク…。
手芸には独特の魅力があります。ひらめいたアイディアを実現するために、デザインをし、作り方を試案し、実際作業してみる。仕上がったものの出来に一喜一憂。今まで存在しなかったものが、自分の手によって生まれ落ちる。その嬉しさったら。

その魅力に筆者も子供のころからずっと魅了されています。

ものづくりの最終的な楽しみは、作ったものを自分で使って人に見せたり、誰かに使ってもらうこと。人間が生活の中に取り入れてこそ、モノとして完成形ではないかなと感じています。

作り手が使い手へ、直接手作り品を販売できる場所、手づくり市。

百万遍さんの手づくり市といえば、知恩寺で毎月15日に行われている手づくり品を販売する市です。
「百万遍さん」「手づくり市」などと呼ばれ愛されるこの手づくり市、なんと2017年で30周年を迎え、現在毎月450軒近く出店しています。

今や全国各地で行われているクラフトマーケットのパイオニアなんです。

京都大学と向かい合って立つ知恩寺。15日当日は人で賑わいます。「私が創りました。買ってください。」とシンプルで力強いキャッチコピーの看板が目印。

何度かお買い物をしに訪れたことはありますが、今回はちょっと張り切って、出展してみました。

同じくものづくりが好きな友人と組んで3人でお店づくり。

出展の申込みは、事務局へ往復ハガキを送ります。参加したい月の前月20~25日必着です。名前・住所・電話・出展品と屋号を書いて送るだけ。月初に出展許可のハガキが復路ハガキで届くっていう寸法。もちろん落選することもあります。

今回は無事当選!

出展できると決まり、手芸漬けの2週間が始まりました。文化祭前みたいで独特の充実感があります。

当日は、なんと5時集合。6時から設営開始です。
眠い目をこすりながらテントを立てたり、商品を陳列したり。受付で出展料4000円をお支払いすると準備万端です。

頑張ってつくった我が子たちが並ぶとまた愛し。

早起きの楽しみは朝食!準備も済んでほっとしたところで、今月はどんなお店が出展しているのかしら~とふらふらしながら境内をお散歩。早速美味しそうな珈琲とパンを発見。

ふくろう珈琲さんで珈琲を。

リーテンリュッカさんで合鴨のスモークのタルティーヌをゲット。

幸せ~って感じの表情になります。

市は朝8時からスタート。朝早くからたくさんのひとで賑わいます。

出展する方も買い物する方も楽しい場所。いったいどんな方が運営してくれているんでしょう。

立派なお堂の石段に腰掛け、主催の榎本さんに聞いてみました。

手作り市が始まったのは、昭和62年。榎本さんの奥様が洋服の作家で、百貨店のイベントなどで作品を展示販売していました。当然、接客の方法やお金のやりとりも百貨店のやり方。個人の作家にはあまり自由のきかないシステムです。

そんな話を聞いていた榎本さんは”青空個展会場”というコンセプトを思いつきます。参考にしたのは縁日の形。京都には北野天満宮の天神さん(毎月25日)や東寺の弘法さん(毎月21日)が定着しています。プロのお店が出店する2つの市よりもアマチュアに向けた場所を作ろうという発想です。古本市やイベントなどをよく開催していた知恩寺さんが協力してくれました。

そうと決まれば、まずは出展者を集めなければなりません。京都新聞に紹介協力をお願いし、記事が掲載されました。当時の記事タイトルが「素人市だョ大集合!弘法さん天神さんに匹敵する”百万遍さん”」というもの。出展者募集の案内を受けて、第一回百万遍さんの手づくり市には約90軒のお店が集まりました。

まったく新しい取り組みです。スムーズに運営するためには、30年の年月の中で、システムがそれこそ「手づくり」で少しずつ整えられてきました。

当初は、申込み制ではなく、当日出展希望者が直接会場に集合することになっていました。出展者の数は当日までわかりません。雨の日など10店舗しか現れなかったこともあるそう。

問題が起こるたびに解決する、その繰り返しで現在の手づくり市の形が出来上がりました。手づくり品以外のものを販売する店舗を退場願ったり、警備も必要ですし、食品衛生に関してもブラッシュアップしていったのです。手づくり市に食べ物は欠かせません。人気商品には食品も多いのです。実は、手づくり市事務局には食品関係の出展者をまとめた分厚いファイルがあります。安全に市を運営するために欠かせない衛生チェックをし、保健所からの指導にも丁寧に応答していきました。

大掛かりな手づくり市ですが、現状は当日スタッフ含め、たった10人程度で運営しています。ネットが発達したため、出展者の方々がそれぞれ宣伝するため、運営本部による大規模な宣伝はあまり必要ありません。

運営していていちばん大変なのは朝。問題が多発する時間帯です。話し合いを穏便にゆっくりする時間は無いため、榎本さんは迫力を持たせるためにヒゲを生やしているそう(笑)「相手をビビらせるため」と内緒で教えてくれました。

お店がひしめきあっています。色んな方々が関わるので、たしかにヒゲと迫力が必要そう。

この30年間で全国に広まったクラフトマーケット。榎本さんのもとにも相談がたくさん来ますが、とってもオープンにノウハウを伝えています。ポイントは2つ。「メディアにNEWSにしてもらうこと」「売れっ子を生み出すこと」

メディアに取り上げられやすい要素をつくり、さらに有名なお店があれば、人は集まって、さらに名が広まっていく。いいサイクルに乗せることが肝要なんですね。

出展している側は、自分が売れっ子になるにはどうしたらいいのかも気になります。売れっ子になるのに重要なこと資質は、ヴィジョンがしっかりしているとか頭の賢さより、人柄と雰囲気が良く、めげないことだそう。

「流行っているお店を観察して!必ずにぎわう理由があるから。」と榎本さんは言います。何を作ったらいいかわからないなら、「○歳の○○なタイプのひと」などと相手のイメージを明確につかむのが有効。お客さんの顔がはっきりと浮かべばものづくりもはかどりそうです。また、初々しさを保ち続けることもポイント。1年くらい出展し続けると慣れてスレてしまうひとも多いそうですが、「来てくださってありがたい」という気持ちを持ち続けるのが大事。手づくり市も初心忘れるべからずなんですね。

手づくり市から活動をスタートさせ、その後実際にリアル店舗を出店した成功例は食品だけでも30軒ほどあるので、手づくり市のその先も夢ではありません。

百万遍さんの手づくり市は出展者もお客さんもお話しながら買い物できます。まさに顔が見える商売。作品を作って、運んで、販売して、というのは簡単ではありませんし手間もかかります。ですが、商品だけでなく什器やPOP、宣伝方法にいたるまで、手探りで進める、全てが「手づくり」の市は、出展するほうも充実感たっぷりの経験でした。

買い手も売り手も楽しい市。それが百万遍さんの手作り市が30年も人気を保っている理由の1つだと感じます。

「パイオニアだからやり続ける責任がある。でも基本的におもしろいからやっているんです。だから30年も継続しているのでしょうね。」と語る榎本さん。

続けるというのはおもしろがり続けるということでもあるのかもしれません。

イベント情報

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この記事を書いた人

持木ユリイカ

リバーサイドカフェの管理人

持木ユリイカ

京都暮らし8年目のアラサーライター。本業は曜日・時間帯で店長の変わるリバーサイドカフェの管理人。

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