社寺さんぽ

【厭離庵・祇王寺・宝厳院】嵐山で紅葉の名所も独り占め!?【嵐山散策】


今年の紅葉はどこに行こうかな・・と、久しぶりに嵐山へ行ってきました。
嵐山はどこに行っても人、人、人・・。この日も朝から雨が降っていたのですが、晴れ間が見えてきたので、午後から嵐山へ向かいました。
今回は、そんな午後からでも紅葉を楽しめる穴場スポットをご紹介します。

嵐山といえば竹林。ご存知の通り、ドラマや映画の撮影場所にもよく使われ、観光名所でもあるので、ものすごい人です。最近では、映画「古都」にも出ていましたね。野々宮神社の鳥居前も、ご覧のとおり大行列です。それを横目に見ながら竹林を抜けると、さきほどの行列が嘘のようにいなくなり、静かな町並みが広がります。まず目指したのは厭離庵(えんりあん)です。

厭離庵は、臨済宗天龍寺派の寺院で、今は尼寺となっています。「厭離」とは仏教用語で、穢れた現世を嫌って離れる、という意味があり、その名の通りこの細い路地を入っていった先にひっそりとあります。しかも、一般公開されているのは、この紅葉のシーズンだけなんです。

この場所には、鎌倉時代初期に宇都宮頼綱(僧蓮生)の中院山荘があったといわれています。頼綱は、藤原定家に「山荘の障子を飾る色紙を書いてほしい」と依頼しました。定家は、100人の歌人からそれぞれ一首ずつ和歌を選んで色紙に綴りました。そうして編纂されたのが「小倉百人一首」です。

まずは本堂へ。本尊は如意輪観音像です。さらに霊源禅師、西行法師、藤原家隆、紀貫之の木造と藤原定家、子為家、孫冷泉為相の位牌を安置しているそうです。暗くてよくわからなかったので、入口で頂いた栞で本尊のお顔を拝見。しっかりとした凛々しいお顔立ちですが、右膝を立てて、頬づえをついている姿は、穏やかで親しみをも感じさせてくれます。天井画は、東京芸術大学の名誉教授西村公朝氏が書かれた「飛天」で、丸顔がとても優しくかわいらしいです。

こちらは客殿です。中央で御朱印がいただけます。御朱印帳を持っている方のみで、紙だけでの配布はされていませんでした。とっさに来たこともあって、御朱印帳を持っていなかったので残念・・。

客殿に腰かけて、しばらくお庭を眺めていました。数人しかいなかったので、話し声は時折聞こえるものの、それほど気になりません。喧騒から逃れて、ゆったりとした時間が過ぎていきます。

お庭には、定家を偲んで五輪塔が建っています。ほかにも時雨亭という茶席があるのですが、この日は見られませんでした。

続いて向かったのは祇王寺です。入口を入ると垣根に柿がぶら下がっていました。風情があっていいですね。往生院祇王寺といい、真言宗のお寺になります。

さすがにこちらは人が多かったです。実はこの庭の周りをずらりと囲んでいます。でも、ぎゅぎゅうというわけではなく、ゆったりと歩きながら、みなさん静かにこの美しい風景に魅入っていました。雨上がりということもあってか、少しもやがかった感じが、また神秘さを増しているように思えました。

仏間には、本尊大日如来、平清盛公、祇王、祇女、母刀自(とじ)、仏御前の木造が安置されています。祇王、祇女は鎌倉末期の作で、丸みを帯びた優しいお顔立ちをしています。

祇王と祇女の姉妹は、都で評判の白拍子でした。祇王は平清盛に寵愛され、妹や母もその恩恵を受けていました。その後、同じ白拍子の仏御前が現れ、清盛の寵愛が移ってしまいます。そしてその悲しみから、母刀自、妹祇女とともに出家して、庵を造って住みました。これだけだと仏御前が嫌な人みたいですが、そうではなく清盛の寵愛を奪ってしまったことがいたたまれずに、仏御前も出家してこの庵を訪れ、4人で極楽浄土を唱えたそうです。そのためこの4人が安置されているわけなんですね。「平家物語」は、この祇王の悲話から始まり、多く語られていることから、当時の人々にとっても祇王はとても親しまれていたのかもしれませんね。

苔までもが美しい・・。まるで海中に漂う藻のよう。視線を上に移せば、星のようにキラキラと降ってくるかのような紅葉。
祇王たちの優しさに包まれた空間で、心安らかなひとときを過ごせました。
最後は宝厳院です。先ほどの竹林は混んでいるのは目に見えているので、清凉寺周りで向かいます。

宝厳院といえば、獅子吼の庭にある「獅子岩」が知られています。この写真は2002年5月に撮影したものですが、この獅子岩に久しぶりに会いたくなったのです。紅葉シーズンはとても混んでいるということで、閉門時間ぎりぎりに飛び込みました。1時間後に夜の特別拝観があり、すでにその列ができていました。それもあって、ほぼ貸切状態で楽しめました。

大亀院宝厳院といい、臨済宗大本山天龍寺の塔頭寺院になります。1461年に細川頼之により、聖仲永光禅師を迎えて創建されました。創建時は上京区にありましたが、応仁の乱で焼失し、ここに移転再興されました。本堂はさすがに時間的に入れませんでしたが、本尊十一面観世音菩薩、三十三体の観世音菩薩、地蔵菩薩が祀られているそうです。獅子吼の庭は、室町時代に禅僧策彦周良禅師によって作庭された回遊式山水庭園です。江戸時代の『都林泉名勝図会』にも紹介されている名園です。

こちらは「碧岩」。とっても大きいです。2億年前の海底に堆積した微生物やプランクトンが水圧で圧縮されてできた岩なんですって。パワーストーンとしても密かに人気を集めています。

先ほどの獅子岩です。これも碧岩と同じ岩石です。
あら?ずいぶんとお顔立ちが変わりましたね。14年の間にちょっと貫禄が増しました?
凛々しい目が、苔で隠れて柔和にも見えます。でもこれはこれでかっこいいですね。『ジャングル大帝』成長したレオみたい? 紅葉の赤と橙が、獅子岩を一層引き立ててくれます。

じゃーんっ、玄関門の紅葉のトンネルも独り占めです!! 名残惜しみつつ、くぐらせていただきました。

さて、14時に嵐山に着いて、17時までの3時間コース、いかがでしたでしょうか?
「人気の高いところは、写真撮るにも絶対人が入る!」「早朝に行くしかない」「雨が降ったらいまいち」なんて思っていませんか?

京都は雨が降っても美しい・・。
雨だからこそ味わえる情緒があります。

施設情報

厭離庵

寺院

厭離庵
  • 京都市右京区嵯峨二尊院門前善光寺山町2
  • 075-861-2508
  • 9:00~16:00
  • 志納

施設情報

祇王寺

寺院

祇王寺
  • 京都市右京区嵯峨鳥居本小坂町32
  • 075-861-3574
  • 9:00~17:00(受付終了16:30)
  • 大人300円・小人(小中高)100円
  • http://www.giouji.or.jp/

施設情報

宝厳院

寺院

宝厳院
  • 京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町36
  • 075-861-0091
  • 9:00~17:00(受付終了16:30(本堂)・16:45(庭園))
  • 大人500円・小中学生300円・宝厳院・弘源寺割引共通券900円
    ※宝厳院本堂特別公開:別途志納料(大人500円・小中学生300円)が必要です。
  • http://www.hogonin.jp/

この記事を書いた人

萩野桂

ライター

萩野桂

京都生まれの京都育ち。詩や小説を綴りつつ、歴史が語る、京の記憶に魅せられて、今日もふらりと歩いています。

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