社寺さんぽ

【上賀茂神社】桃花神事


3月3日はひな祭り。五節句のひとつで、上巳(じょうし)の節句ともいいます。もともと中国から伝わった行事で、季節の節目には邪気が入りやすいと考えられており、川原で禊をして心身の穢れを祓うための儀式が行われていました。それが日本に伝わり、宮中行事として取り入れられ、『曲水の宴』を催したり、人形(ひとがた)で自分の体をなでて穢れを移し、川や海に流す禊の神事が行われたりしました。

『源氏物語』の「須磨の巻」には、光源氏が形代の人形を舟に乗せて海に流す場面があります。そうなんです、もともとは女の子のお祭りではなかったのですね。女の子の祭りとなったのは、江戸時代になってからだとか。意外と最近なんですね。ちなみに、ひな祭りに頂く白酒、菱餅、草餅や飾る桃の木もすべて厄払いの意味があるんですよ。

「一応女の子だし、京都の桃花祭は行かねばっ!」
と意気込み、やってきたのは上賀茂神社。
午前10時から桃花神事があり、30分前までに社務所へ申込みすると参列することができます。イベント的には下鴨神社の方が華やかですが、こちらは参列者は10名ほどで、厳かに行われました。貸切のような特別感があるのがよいです。

まずは社務所に通されました。ひな人形や二葉葵がかわいらしいですね。ほかにも人形やら絵がたくさん飾られていました。

社務所で名前を書き、身を清めます。

土屋(つちのや)に移動し、お祓いをします。お祓いに使ったものは折って水に流します。

続いて片岡社でお参りをします。片岡社には、本殿に祀られている賀茂別雷大神(かもわけいかづちのおおかみ)の母、玉依比売命(たまよりひめのみこと)を祀っています。
橋を渡って本殿へ向かいます。
本殿は写真禁止なので、内容だけご紹介しますね。

拝礼のあと、扉が開かれ、神前にお供え物を供えます。
お供え物は季節によって異なり、この日は、桃の花とこぶし、酒と米と箸、餅(よもぎと小豆を三粒乗せたしいな餅)、鯛、野菜、果物、塩、水を供えます。五月は菖蒲とよもぎで、その時まで桃の花とこぶしはそのまま供えておくそうです。
祝詞奏上のあと、それ以外のお供えものは下げられます。本殿での神事の時に、晴れ間が見えて、光が差し込み、とても神秘的でした。

社務所へ戻り、お供えしたお酒と米粒の「お下がり」を頂きます。この「お下がり」を頂くことを「直会(なおらい)」といいます。

続いて、社務所内で、流し雛に使う紙と紙人形を頂きます。紙には、名前、生年月日、願い事を書きます。紙人形は起こして、切り目に先ほどの願い事をはさみます。

ここで、「あれ?」と思われた方は、鋭い観察力ですね。
社務所で飾られていた雛人形は、男雛が向かって右側なのに、こちらは向かって左側です。
昔は、左上位の考え方があったので、向かって右側が男雛、左側が女雛(人形側から見て左側が男雛)だったのですが、昭和天皇が国際マナーを取り入れるようになり、右上位になり、向かって左側が男雛に逆転したわけなんですね。
でも、京都では伝統を重んじ、右側が男雛という並べ方が今も残っています。

さて、流し雛を境内のならの小川へ流しに行きます。
このならの小川は、百人一首にも読まれている川です。

風そよぐ
ならの小川の夕ぐれは
みそぎぞ夏のしるしなりける

 

藤原家隆郷

これは、神職が夏越の祓えのみそぎの情景を詠んだものなんですね。

水に溶ける紙なので、ほとんどが流してすぐなくなりました。
ちょっと寂しい気もしますが、これで穢れも水に溶けてしまったはず。

最後に、桃の花、こぶし、御札、長寿箸の授与がありました。
ちょっと大人な桃花神事は、コスマグ読者のみなさまにもぴったりではないでしょうか。

施設情報

賀茂別雷神社(上賀茂神社)

神社

賀茂別雷神社(上賀茂神社)

この記事を書いた人

萩野桂

ライター

萩野桂

京都生まれの京都育ち。詩や小説を綴りつつ、歴史が語る、京の記憶に魅せられて、今日もふらりと歩いています。

関連記事

人気記事ランキング

まだデータがありません。

読みもの

特集

Menu