社寺さんぽ

【妙蓮寺】花の寺として知られる寺院で風雅を愛でる【西陣散策】


本門法華宗の大本山で、豊臣秀吉の聚楽第造営に際して現在の地へ移転。
立派な山門は、天明の大火(1788年)で焼失後、文政元年(1818)に禁裏(御所)より拝領したもので、格式高い造りになっています。
その山門をくぐると、本堂前や鐘楼周辺には芙蓉や酔芙蓉が咲き乱れていました。
酔芙蓉は、朝は白く開いた花が徐々に赤味を帯びたかと思うと翌日には真っ赤な蕾のような形に変化して、そのまま落下します。
白やピンクの濃淡さまざまな花が所狭しと咲き誇る様は圧巻です。

その他にも、5月にはつつじ、秋から春にかけては御会式桜が咲き続け、冬から春にかけては、銘木・妙蓮寺椿が境内を彩ります。

10月13日の日蓮聖人御入滅の日前後から咲き始める御会式桜は、翌年の4月8日(お釈迦様の聖誕日)頃に満開を迎える珍しい桜。
秋から冬にかけては、一輪、二輪と可憐な花をつけ、寒さに身を縮こませている我々の心を和ませてくれます。
この桜、散った花びらを持ち帰ると恋が成就するという言い伝えがあり、意中の殿方がいる乙女たちが花びら目当てに訪れる縁結びスポットでもあるのです。
なお、くれぐれも枝を手折ることのないように。
そんながめつい心根では、実る恋も実りませんので。

古くから、活け花(とくに茶花)として愛用された椿。
椿屋が屋号として好むのは、この花が盛りの美しさを保ったまま落ち、けっして下を向かず、天を見据えたままの姿であることから「潔さ」を表す凛々しい花だからです。
椿の種類は多彩で、花弁の数や色などそれはもうさまざま。
ここ妙蓮寺にある妙蓮椿は、紅のやや濃い大中輪で、花弁は4~5枚。
茶人たちに愛されたことでも知られる銘木です。

花々以外の見どころとしては、桂離宮の造営を指図した妙蓮寺の僧・玉淵坊日首が作庭した「十六羅漢石庭」。
白砂で宇宙を表現し、中央に浮かぶ青石が永遠の仏陀、その他の石が地涌の菩薩を意味しているといわれています。
それらが互いに感応道交していることを波紋で表していて、この庭に法華曼荼羅の世界観を見ることができるのです。
ちなみに、青石は「臥牛石」と呼ばれ、秀吉が寄進したものと伝えられています。
さらに宝物殿には、長谷川等伯一派の筆と伝わる襖絵(重要文化財)や本阿弥光悦による日蓮聖人の立正安国論写本(同じく重文)などもあります。
また、墓地には赤穂義士の墓があることでも知られています。

妙蓮寺がある西陣界隈は、古くから西陣織の産地として有名です。
「西陣」の地名は、1467年から11年続いた応仁の乱の際に西軍の陣営が置かれたことに由来するのだそう。
ふとした時にこういった背景を知ると、長~い歴史を持つ京都、京都人の言う「先の戦争」=「応仁の乱」といわれるのも妙に納得してしまいます。

この応仁の乱後、機業者がこの地に多く集まって発展したのが西陣織。
このエリアには元々、西陣織の職人さんが使っていた町家も数多く残っており、京都の中でも、色濃く下町風情が感じられる地域となっています。

中でもすっかり名所になっているのが「三上長屋」。
石畳が続く両脇に町家が連なる路地で、映画やドラマのロケ地として使われています。
昔ながらの職人長屋の佇まいをいまに残し、陶芸家や写真家が住居としているほか、奥には黄金色の蜂蜜がずらりと並ぶお店「蜂蜜専門店ドラート」(金曜公開予定)もあるので、散策途中にぜひとも立ち寄ってみてください。

三上長屋から徒歩5分ほどのところにあるのが、西陣の伝統的な「織屋建」を活かした織のミュージアムとしてオープンした「織成館」。
「ウナギの寝床」といわれる細長い造りに、梁や柱、明かり取りのための天窓など、伝統的な京町家の雰囲気が残り、西陣織をはじめ昔の能装束や時代装束が展示してあります。
隣接している工房では、織の作業手順や実際の作業を見学することができ、小型つづれ機ですくい織の体験をする事も可能。
京土産にオリジナルのテーブルセンターを手作りしてみるのも素敵です。

織の繊細な作業を一度目の当たりにすると、帯のあの立派なお値段にも心底納得。
気の遠くなるような細かな作業の連続、一度体験する価値ありです!

また、西陣に来たなら立ち寄りたいお土産スポットが「UCHU wagashi」。
町家を改装した店内は、すっきりとシンプルな空間で、ショーケースの中にはモダンにデザインされたカラフルな落雁が並んでいます。
動物の形をした「animal」や、清水寺、京都タワーなど京都のランドマークをモチーフとした「京都ものがたり」など、キュートな形に目移り必至。
そして見た目の可愛さもさることならが、ココアやジャスミン茶、ほうじ茶、抹茶などなど味わいもバラエティに富んでいて、選ぶ楽しみは無限大。
和三盆を使用した優しい甘さと口どけの良さ……うっとりしながら味わってみてください。

そこから歩いてすぐのところにあるのが、「花屋にち」。
こちらも町家を生かしたとっても雰囲気のいい空間。
店頭には小さな鉢に入った多様なグリーンが並べられ、友人宅のような店内にはドライフラワーのリースや花束がたくさん!
ドライフラワーの中でもアジサイがたまらなく好きな小春は、これでもかと吊り下げてある様子に、思わずテンションが上がります。
切り花の取り扱いもあり、花束やアレンジメントのオーダーも可能。
ふと見たカウンターに置かれた素朴な焼き菓子は、店主の奥様が手作りで焼く「毎日のためのおやつ」。「星雲おやつ」という名前で、植物性のクッキーを中心に、ときにはケーキやタルトも登場するので、ぜひ立ち寄ってみてください。

何だか盛りだくさんとなった西陣散策。
寺社仏閣や祇園といった名所とはまたひと味違う、普段の京都が感じられるエリアです。
ゆっくり、たくさん寄り道しながら歩いてみてはいかがでしょう。

施設情報

妙蓮寺

寺院

妙蓮寺
  • 京都市上京区寺ノ内通大宮東入ル
  • 075-451-3527
  • 10:00~16:00(水曜・年末年始)
  • 方丈・庭500円、宝物殿300円(別途、要予約)
  • http://myorenji.or.jp/

この記事を書いた人

ことり会

フリーランスな女子3人ユニット

ことり会

ことり会とは、ライターである江角悠子(2児の母)と椿屋こと山田涼子(兼国語講師)、イラストレーターの辻ヒロミというフリーランス女子3人が結成した「もっと京都を知ろう!」という集い。歴史を学び、素敵な場所に行き、おいしい料理を食し、かいらしいものを愛でる会です。会の名前は、初回の「ごはん食べ」で小春がふたりに贈った小鳥モチーフの雑貨から。

関連記事

人気記事ランキング

まだデータがありません。

読みもの

特集

Menu