社寺さんぽ

【教王護国寺】世界遺産の東寺で迎えるお正月


平安遷都から2年後の796年(延暦15年)、羅城門の東西に、東寺(教王護国寺)と西寺が対称に造営されました。そのうち西寺は、990年の大火などで焼滅し、その後再建されることはありませんでした。一方東寺は、真言宗総本山として知られ、今や世界遺産となっています。東寺といえば、弘法大師の命日に開催される弘法さん。私はご近所さんということもあって、学生の頃は毎月のように通っていました。その頃は、そんなにすごいお寺だと思いもせず、屋台目的だったのですけどね。今でも初詣はいつもこちらにお参りしています。
今回は、この東寺で、お正月に行われるさまざまな行事をご紹介いたします。

■1日 大般若会

正月と毎月21日に、御影堂の国宝・秘仏不動明王前で、護摩供養が行われます。この不動明王、弘法大師作で、大使の念持仏とも伝えられています。平安末期以来御開帳がないそうです。
9時45分頃、ちょうど準備をされているようでした。そのまま通り過ぎて本坊前へ向かいます。

9時50分頃、本坊前から僧侶たちが御影堂へ向かわれます。

僧侶たちが列をなしていかれる姿を見るだけでも、心が清々しく感じます。が、もちろんこれだけでは終わりません。
御影堂では、10時から「大般若会」が行われます。これは毎月1日に行われているもので、600巻もの大般若経を転読する法要です。
堂内は、一般にも開かれており、誰でも入ることができますので、ぜひ外陣へどうぞ。
僧侶が経本をパラパラーッと上から下へめくり落としながら、般若心経を唱えます。目を閉じると、四方八方から聞こえてくる御経が心地よく、まるで別世界にいるように感じます。萩野は特に信徒というわけではありませんが、わかるところだけ一緒に唱えてみました。一緒に唱えることで、また違った世界観が広がるように感じます。

その後、その経本を一人一人頭の上に乗せて、大般若経を授けて頂きます。これは「仏の知恵を授けて頂く」という意味があります。

■3日 修正会(しゅしょうえ)

13時~御影堂にて「修正会」が行われます。「修正会」とは寺院で正月に修める法会のことをいいます。堂内で法会が始まり、十数名の僧侶が真言を唱えます。

そのあと僧侶たちがぐるりとお堂を囲み、堂内のすべての柱に御朱印を押します。一人が印をもって、ひとつの柱に3箇所、ポンポンポンと押していきます。僧侶の額にも押します。まるで結界を張っているかのようですね。

そのあと、参拝者に「おふなごう」と呼ばれる牛玉宝印(ごおうほういん)の授与があります。これは厄除けの護符で、供養料500円です。列に並んでいると半紙を頂きます、これを6等分に折り目をつけます。これに6つ捺印して頂きます。希望すると額にも押してくれます。これは1月28日にも講堂で授与されます。

ものすごい行列で、授与されるまで並ぶこと1時間・・・。 早めに並ばれることをおすすめします。

■8日~14日 後七日御修法(ごしちにちみしほ)

8日から14日までの7日間、「後七日御修法」が行われます。千百年以上も宮中で行われていた行事です。宮中では正月行事として、1日~7日を神事、8日~14日を、仏事で営んでいました。空海が835年(承和2年)に行なったとされ、国家行事としていましたが、廃仏毀釈の影響で廃止されました。そして明治16年に東寺で再興されました。この「後七日御修法」は、真言宗の最高の儀式といわれ、今はこの東寺だけで行われています。

8日11時半頃、勅使から天皇の御衣が本坊へ届けられます。その際、本坊の南側の小子坊(天皇をお迎えする場所)の勅使門が開きます。この勅使門は普段閉じられており、この時だけ開きます。

扉には大きな菊の紋章、その周りも細やかな透かし彫りで飾られています。そして柱には葡萄の唐草模様が施されています。『古事記』に、伊邪那岐(いざなき)が黄泉国から逃げ出した時に、追いかけてきた醜女(しこめ)たちに髪飾りを投げつけると、エビカズラ(ブドウ)の実に変わったという話があります。平安時代には、葡萄は薬草の一種とされており、門をくぐる人々をお祓いするという意味があります。

御衣は本坊内で唐櫃に納められ、灌頂院へ運ばれて安置されます。
そして、真言宗各派の高僧15人が灌頂院に一堂に集まり、7日間21座(1日3座×7日)にわたって国家安泰や五穀豊穣を祈願します。 秘法のため見ることはできませんが、期間中の 6時、10時半、13時半に、本坊から灌頂院へ、そして法要後灌頂院から本坊へ向かう列を参拝することができます。

写真は、本坊から灌頂院へ上堂されるところです。雅楽が流れる中、檀家さんや信徒さんたちが「南無大師遍照金剛」と繰り返し唱え、厳かに厳かに行列が進みます。


朱傘を差し掛けられている方が、大阿闍梨(だいあじゃり=導師)を務める方です。灌頂院までは清められた砂が引いてあります。

この後ろに見えるのが勅使門です。今年は雨だったのですが、全員朱傘を差し掛けられて、なかなか壮観でした。

従弟子の右手の方が持っているのが「仏舎利」です。御修法の御本尊になります。青の裃の方が持っているのはチリン棒といいます。祭りの行列でもよく見かけますが、音を鳴らして厄払いをする意味があります。

高僧たちが灌頂院に入られると、門は閉ざされます。潅頂院では2回お経を唱えるんだそうです。通常は非公開の場所ですが、14日の結願に、約1時間だけ潅頂院を拝観すうることができます。ただ・・2016年は「京の冬の旅 非公開文化財特別公開」で公開していましたね。

さて、いかがでしたでしょうか? 
2017年は酉年。酉年の守り本尊は「不動明王」です。東寺への参拝にもぴったりですね。

施設情報

東寺(正式名:教王護国寺)

寺院

東寺(正式名:教王護国寺)
  • 京都市南区九条町1
  • 075-691-3325
  • 5:00~17:00(開門時間)
    8:30~17:00(拝観時間・16:30受付終了)
  • 拝観料:時期によって変動します。詳しくはホームページをご確認ください。
  • http://www.toji.or.jp/

この記事を書いた人

萩野桂

ライター

萩野桂

京都生まれの京都育ち。詩や小説を綴りつつ、歴史が語る、京の記憶に魅せられて、今日もふらりと歩いています。

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