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【野仏庵】心を見つめる、侘び寂びの世界


友達と出掛けるのも楽しいけれど、心がもやもやっとしている時は、一人がいい。
時間に縛られず、好きな時に好きなように過ごすのがいい。
ということで、今回ふらっと出かけたのは一乗寺。
中でも、おとながーるにおすすめな、静かでボーっとできる場所をご紹介します。

叡山電鉄の一乗寺駅を降りて、15分ほどまっすぐ東にいったところ、野仏庵は詩仙堂の奥にひっそりと佇んでいます。
ここは、明治生まれの上田堪庵(うえだたんあん)の別荘でした。
堪庵は南禅寺の湯豆腐で知られている「順正」の創業者で、古美術愛好家としても知られています。
茶人でもあり、こだわりの茶室が3部屋あります。

この長屋門は、幕末の動乱で、西園寺公望公が新選組に追われて隠れ住んでいた、丹波須知村の寓居の門を移築したものです。
入口には、狛犬・・ではなくヒツジ~??
なんだか童話にでも出てきそうな、不思議な世界観があります。

門をくぐって、少し上がっていくと、西園寺公望公の雅号「陶庵」から名づけた茶室「陶庵席」があります。
中には入れませんが、ちらっと中をのぞくことはできます。

さらにずっと石段を上がっていくと、母屋への入口があります。
入口の右横にある鐘は、仙台伊達藩領内にあったもので、1687年の銘が入っているそうです。
きっと、堪庵が集められたのでしょうね。
あまりに誰もいなくて、本当に入っていいのかなと思いながら、入口で声をかけて上がらせていただきました。
すると、奥から女性が出てきて対応してくれました。

母屋は、淀の茶屋の旧邸を移築したものです。中はものすごく広いです。
部屋がいくつもあると、とてもわくわくします。
童心に返ったつもりで、あっちうろうろ、こっちうろうろ・・。
他に誰もいなくて貸切でした。なんと贅沢なんでしょう。

しばらくぼーっとお庭を眺めながら、お抹茶を頂きました。
おばあちゃんちに来たような、そんな気分にさせてくれます。

こちらの雨月席は、『雨月物語』で知られる上田秋成ゆかりの茶室で、もともと南禅寺に西に建っていたものを移築したものです。
『雨月物語』は怪奇小説。
こういった場所で読むのもまた乙かもしれませんね。

この部屋には、煎茶道の道具一式が置いてありました。
茶道ではなく煎茶道・・というところにびっくりです。
この茶室も煎茶を楽しむために作られたのですって。

さて、戻ろうと思ったら・・ここからの眺めがまたいいですね。
襖絵は、秋成と親しかった松村呉春の作品です。

さて、母屋から外に出て、途中の階段に面白い模様がありました。これ・・石臼です。
摩耗して古くなった石臼を、このように寺の境内の敷石になっているのは、よく見られます。
これは規則正しく並べられていて、美しい景観です。まさに茶人ならではのおもてなしといったところでしょうか。

石段を下りていくと、右手に兵庫県芦屋市から移された幽扉席があります。
扉が閉まっていたので、中は見れませんでした。
このあたりも情緒があって、素敵な佇まいですよね。
さらに階段下には、石仏がたくさんっ!
その数、実に百数体はあるそうです。

一乗寺降魔不動明王は、野仏庵のすぐ東にあります。
厳しいお顔をしており、その力で諸悪の根源や悩みを焼き払ってくれるそうです。
こちらもぜひお参りしていきましょう。

施設情報

野仏庵

茶室・庭園

野仏庵
  • 京都市左京区一乗寺葉山町15-3
  • 075-871-5016
  • 9:00~16:00
    土曜・日曜・祝日・水曜は開庵(不定休あり)
  • 拝観料500円(抹茶付き)
  • http://nobotokean.tyanoyu.net/

この記事を書いた人

萩野桂

ライター

萩野桂

京都生まれの京都育ち。詩や小説を綴りつつ、歴史が語る、京の記憶に魅せられて、今日もふらりと歩いています。

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