ここが私のSANCTUM

【私設図書館】誰にも邪魔されずにひとりの時間を過ごせる場所。


吉田神社から山道を抜けると…それはそれは長い山道を抜けると、今出川通に出ます。

京都大学生のための学生街が連なる百万遍の交差点から白川通にかけての坂道。

京大生御用達の飲食店が立ち並び、歩くだけでも目移りしてしまいます。

そんな坂道を登りきった一画に、ちょっと変わった”図書館”があります。

アンティークな雰囲気の建物に浮かぶ「私設図書館」の文字。

何かを売っているわけではなさそうですし、喫茶店でもなさそう。

いったい何の場所なのか見た目では判断できません。

一歩足を踏み入れると、中はシーンとしていて、BGMも流れていません。

仕切りのついた机が所狭しと並んでいます。

教科書とノートを開いているひともいれば、パソコンに向かっているひとも。

そう、ここはいわゆる「自習室」とっても静かな空間なので、仕事に勉強に読書。

誰にも邪魔されずにゆっくり自分のやりたいことをできそうです。

「私設図書館」というだけあり、棚には本や辞書も。

筆者がお気に入りなのは、イギリス風のインテリア。

イギリスアンティークの雑貨や照明が店内にさりげなく配置され、雰囲気をつくっています。

女子にとって重要度の高いトイレだってこんなにかわいい。

2階への入り口に点っている虫のランプを見ていたらネコと目が合います。

驚きなのが、なんとここ、1日(9:00~00:00)いても料金は650円なんです。

2時間までなら250円。

さらにお茶とコーヒーもしくは紅茶1杯がついてきます。

カフェや公立の図書館に慣れている身にとっては、なんとも不思議なシステム。

自習室内は私語厳禁のため、休憩室(漫画もあります!)にて館主の田中さんに話を聞いてみました。

この私設図書館、1973年に開設されてからの43年、時代の流れとともに変化してきました。

当初は館主自身や友人知人の所蔵図書をみんなでシェアするための場所として作られたそうですが、公立図書館が閉館する夕方以降、地域の受験生が勉強する場所がなかったため、だんだん学習室として利用する方が増えていきました。

学生だけでなく、資格の受験勉強をする大人の利用も多くありました。

また、パソコンが普及してからは全席に電源を設置したり、Wi-Fiも導入したりと、時代の変化に合わせて施設も変化して今のかたちに。

開設当時としては、同じようなシステムの場所はなく、オリジナルで作り上げたシステムだったそう。

当時も今もユニークな存在だったんですね。ちなみに当時は学生運動全盛期で、田中さんの母校京都大学でも、火炎瓶が飛び交っていた頃。

田中さんは運動には参加せず熱気球をつくっていたんですって。

日本ではじめて国産熱気球を運転したのは実はこの田中さん。

同じ火を扱うにしても、使い方が違います。

大学卒業後即就職というルートには違和感を感じていた田中さん、御親戚の持っていた物件を借りて私設図書館を立ち上げました。

そこから30歳までは私設図書館の収入だけで生計を立てていましたが、30過ぎて、家族が増えてから会社に勤めだしたそう。

この料金設定で生活するのは確かに難しそう…。

それでも奥さんの献身的なサポートもあり、私設図書館はずっと続けることができたのです。

「辞めたいと思ったことはない。むしろ私設図書館を維持するために仕事に出たくらい。」

と力強いお言葉。

素敵な場所だなぁと愛用するのは楽しいことですが、その場所を運営し続ける側は本当大変なんでしょうね。

「経済合理性はない場所だけれど、団塊世代のへそ曲がりだからね、この場所は続けたいんだ」と話す田中さん。

受付を担当しているのもボランティアに近いようなスタッフさんたち。

田中さんの場への愛情と、この場所に惹かれたひとたちのおかげで今も運営できているんです。

利用者が書き込めるフリーノートには43年の思い出がぎっしり。

学生の頃の利用者さんが大人になってから再訪することも多いそう。

ひとの歴史の重みを感じると、心にずしんと来ます。

席について感傷にひたるライター。

ぼーっとしたり考え事したりするのにもぴったりの場所ですねココ。

京都の大先輩が大事に続けてきた場所。

時の流れで磨かれてきた宝物みたいな空間です。

おとながーるたるもの、ひとりの時間を過ごしたい時ってきっとあるはず。

そんなあなたを私設図書館は静かに待ってくれていますよ。

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この記事を書いた人

持木ユリイカ

リバーサイドカフェの管理人

持木ユリイカ

京都暮らし8年目のアラサーライター。本業は曜日・時間帯で店長の変わるリバーサイドカフェの管理人。

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