神様に会いにいく

【連載エッセイ】Vol.24 少彦名命(五條天神宮)


車がびゅんびゅん走る西洞院通に面し、マンションに囲まれている神社、五条天神宮(ごじょうてんじんぐう)にやってきました。

このあたりの地名は「天使突抜」といいますが、この五條天神宮がかつて天使社とよばれていて、秀吉がその森を突き抜けて道を作ったことから「天使突抜」と呼ばれるようになったのだそうです。

「天使突抜1丁目」とか、そんな地名見たら、ファンタジーの世界に迷い込んだ気持ちになりますよね。まあ、十代の青春を広島で過ごしたわたしの頭の中には、仁義なき暴走族ワールドが繰り広げられるんですけど。天使突抜1丁目とか、長ランの背中に登り竜と一緒に金色で刺繍したらとても合いそうです。

鳥居をくぐると立派なお社があります。

胸筋がすごい狛犬。ものすごい強そう。

本殿です。

ここに祀られているのは、

少彦名命(すくなびこなのみこと)
大巳貴命(おおなむぢのみこと)
天照皇大神(あまてらすおおみかみ)

の3柱。

アマテラス様はわかるとして、他の2柱は連載初登場…と思いきや、実は、大巳貴命はvol.23で紹介した大国主命の別名なのでした。

というわけで、今回会いに来たのはスクナビコナ様です。
なんと、手のひらサイズのちっちゃな神様。

イザナミ・イザナギよりも先に現れた神の子で、あまりにちっちゃいので手の隙間からこぼれおちてしまったのだそうです

誕生の瞬間から萌えさせてくれる神様ですが、神話での登場シーンもなかなかのものです。

スサノオの試練をクリアした大国主が、出雲の国を治めることを任されて、どうやって治めようかなーと途方に暮れていたら、海からスクナビコナがやってきます。
どんなふうに現れたかというと、

ガガイモのさやでできた船に乗り
蛾の皮をまとって現れました

なんじゃそりゃ。

ガガイモは蔓植物で、さやは8~10センチの紡錘型。ちっちゃい神様のボートにぴったりですね。そこまではいい。なぜ蛾のコスプレなんだろう。そのせいで、大国主たち一同は、「あれは…誰だ…」と、ざわざわすることになるのでした。

スクナビコナが偉い神様の息子だと無事にわかって、大国主はスクナビコナと一緒に国作りをすることになりました。

そうしてですね…このスクナビコ様はですね、最終的にどうなったかというと、

粟の茎によじのぼり、それにはじかれて常世国へ渡っていきました

テントウムシか!

…不思議ちゃんすぎる。誰もかなわない。

※ちなみに常世国は海の向こうにある国で、山幸彦が兄ちゃんの釣り針のことをすっかり忘れて3年間過ごした国でもあります。

こんなスクナビコナ様ですが、国造りの協力神、常世の神、医薬・温泉・まじない・穀物・知識・酒造・石の神…と、いろんな性格をもっております。

調べれば調べるほどキャラがわからなくなるけど、スクナビコナ様が、ちっちゃい不思議ちゃんということだけは十二分にわかっていただけたと思います。

社務所はマンションにありました。

本殿の裏に回ると、牛がいます。牛の隣は筑紫天満宮。

本殿の真裏に末社がずらり。

神社を出て道路を渡って撮った写真。

実はこの神社、794年に平安京遷都とともに空海が勧請したという由緒正しい古い神社で、牛若丸と弁慶が出会った場所としても知られているそうです。
よく通っている場所なのに、全然知らなかった。

土地の物語を知ると、また違った世界が見えてくる。物語の数だけ、そしてそれを受け止める人の心の数だけ、世界がある。そんなことを思いました。

施設情報

五條天神宮

神社

五條天神宮(ごじょうてんじんぐう)
  • 京都市下京区松原通西洞院西入天神前351
  • 075-351-7021

この記事を書いた人

寒竹泉美

小説家・医学博士

寒竹泉美

岡山生まれ、広島育ち。京都に住んで15年が過ぎました。ペット可の古い貸家で白黒猫のモーちゃんと夫と、マイペースに暮らしています。

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